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創作時代小説雪しぐれ５４

５４かすれそうな声で叫び、大きな目を見開いているが、やつれた、というか痩せている。いきなり光行に向かって突進してきた。光行は相手が物もいわず突進してきたので、何の武器を持っているかもわからないので身をひるがえした。田島はそのまま、支えを失ってつんのめって倒れた。（？）光行は何もしていないのになぜ倒れたのか。しかも起きてこない。なにかおかしい。彼はそんなに簡単に倒れるのか。遠まきに。志乃と光輝...

町田そのこ作「あなたはここにいなくとも」を読みました。

町田そのこ作「あなたはここにいなくとも」を読みました。【おつやのよる】小学五年生で引っ越した東京で、友達と家のごちそうの話になって、九州風の鶏のすき焼きの話をして馬鹿にされた清陽はトラウマを負いました。以後我が家の常識が世間の常識と違う事に怯えるようになったのでした。清陽は大好きな94歳になる祖母からしばしば彼氏を連れて帰って来いという手紙をもらっていましたが。。。そんな中、母親から電話が入...

創作時代小説雪しぐれ５３

５３光行は一晩泊まりの仕事なので、遅くなるとはきいていたが、待てど暮らせど帰らない。そういう訳で昼ご飯も喉をとおらない。帰ったのは、12時半、ギリギリの時間であった。「お帰りなさい。お疲れ様でした。大変な事が・・・一刻も早く話をきいてください」「急ぎの用か」「はい、私はまずあやまります」「いきなりあやまるって？」「はい、私は光行さん宛の手紙を昨日開封してしまいました。でもこれは、見るからに怪...

創作時代小説雪しぐれ５２

５２元々、田島実は、自分が相手にもされていないのをよくわかっていた。が、他に思うような相手も探せず、運も気力も今はつきはてようとしていた。最近は酒ののみすぎで、体の調子も悪く、心臓が時々指すような痛みがあった。どうせ命も長くないだろうと、自分でも自覚していた。12月20日といえば、明日ではないか、光行は果たしてそれまでに帰ってくるのだろうか。また心配事が増えた。午後3時とあるが、もし帰って来...

春雨の夜永井荷風朗読

年老いた夫婦の静かな夕食の風景が、一抹の寂しさとともに綴られていきます。お聞き下さい。(*^^*)ｵﾈｶﾞｲｼﾏｽ日中はプラス気温になって来ました。今週は10℃・11℃と二桁気温になるそうです。あったかいって好いものですね。なんだか気分まで幸せ気分です。(笑)後は最低気温の氷点下が早くプラスに変わると好いのですが、もう時間の問題かな？大きな声で、春よ来い！早く来い！なんてねッ(^_-)-☆保...

創作時代小説５１

５１キクがなくなってからは、商売もそんなにふるわず、皆必死になって次の事を考えているような時だった。子供たちの学費も5人分は光行一人には重い荷だった。光行はそれからは、急にいそがしくなった。山の売買のための手続きや、正確な測量や、もろもろの用のために時間をついやさなければならない。やっと肩の傷も癒えて、本格的に復帰も可能となった。その時1通の手紙がきた。光行は、他の用事で留守だった。差出人の...

伊岡瞬作「朽ちゆく庭」を読みました。

伊岡瞬作「朽ちゆく庭」を読みました。山岸陽一、裕美子、真佐也一家は新居に越して来ました。3人はどこかぎくしゃくしており、特に真佐也は両親とは話さず、ひたすらゲームをやっていました。ある日、裕美子は朝からいらいらしていました。実はこの日から中学2年生の真佐也は春休みでした。一日中真佐也が家に引き籠るのが憂鬱でした。引っ越してから1年経っても家庭はぎくしゃくしたままでした。かつて真佐也は普通の子...

高木徳一の小説の執筆状況と『正しい、正しさ』の歌謡詞(吉川英治、同音異義語の和歌、野球）

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創作時代小説雪しぐれ５０

５０窓の外にはモミジが赤く染まって、まるで時雨のようにふりそそいでいた。秋はそうそうと流れてゆく。商売も割りに順調よく回り初めておちついてきた。ふと気が付くとまた冬が巡ってきている。落ち着いて、籍も入れたのでご近所に粗品をもってご挨拶にも行った。キクが病死だったので、皆は仕方がない、と理解はしていたのであまり素気ない御近所さんもいず、志乃としては耐える事もできた。そんな中、ある日の事、見慣れ...

アンチ色白至上主義

─ただおうめは肌の白い女性だった。(「醜女」〜)─色白で小柄、あまり物を言わぬおとなしい娘でござりました。(「高札場」〜)─色白の美人でな。(「白い顔」〜)─よく見ると色白で器量もよく…(「川の音」〜)─そして色白のふっくらした顔には、…(「梅咲くころ」〜)─膚が白く少し頬骨が出た顔立ちの女である。(「ならず者」〜)江戸の知人に、隠居生活を送っている大先輩・三屋清左衛門さんという人がいる。三...