"イヨネスコ" の検索結果 9 件
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イヨネスコ、ベケット、アダモフ、さて不条理演劇作家の共通点は?
イイネありがとうございます。なかなか陽の目を見ることの少ない戯曲作品もこれからぼちぼち載せていく予定なので、よろしくお願いいたします。戯曲も読んでみるとなかなかおもしろいんだけど、名作でも文庫化されてないものの方が多いし。さて、今回取り上げたウジェーヌ・イヨネスコ(ルーマニア→フランス)、それから、サミュエル・ベケット(アイルランド→フランス)、アルチュール・アダモフ(ロシア帝国コーカサス生...
2022/07/03 00:31 - カフェ・サン・マルコⅡ 放逐の地、流謫の空、日常の崖、超常の涯、僕たちの心臓はただ歌い出す -
触ったり、触られたり。それはみんなお伽の国だ――イヨネスコ「瀕死の王」⑧
イヨネスコ「瀕死の王」より⑧王いずれは休める、当てにしていい……。おまえは歩く、籠を持って、買い出しに行く。食料品屋にあいさつをする、今日(こんにち)は。ジュリエットでっぷり肥った、いやなおやじですの。とっても醜男(ぶおとこ)で、猫や鳥でも寄り付きません。王すばらしいじゃないか。おまえは財布を取りだす、払いをすませて、お釣りをもらう。市場にはあらゆる色の食べものがある、緑のサラダ、赤い桜んぼ...
2022/07/02 20:44 - カフェ・サン・マルコⅡ 放逐の地、流謫の空、日常の崖、超常の涯、僕たちの心臓はただ歌い出す -
辛くては暮らしていけない。それは矛盾だ――イヨネスコ「瀕死の王」⑦
イヨネスコ「瀕死の王」より⑦衛兵偉大な虚無よ、国王を助けたまえ。王数十億の死者がいる。あいつらはおれの断末魔の苦しみを強めるだけだ。あいつらの死の苦しみ、それがおれだ。おれの死は数えきれない。たくさんの宇宙がおれの内部(なか)で消え失せる。マルグリット人生、それはさすらいの旅ですよ。王わかってる、わかってるよ。侍医要するに、陛下はご自身の祖国へおもどりになるわけで。マリー生まれる前にいらした...
2022/07/01 06:13 - カフェ・サン・マルコⅡ 放逐の地、流謫の空、日常の崖、超常の涯、僕たちの心臓はただ歌い出す -
がどうもうまくはっきり言えない、文学ばかりやってるからな――イヨネスコ「瀕死の王」⑥
イヨネスコ「瀕死の王」より⑥王さっぱりわけがわからない。マリーもうおわかりにならないのね。マルグリットわかったことなんかありゃしませんよ。マリーどうか立ち直って下さい。王どうすればいいんだ?だれもおれを助けられない、助けたがらない。自分でも、助けられない。お願いだ、太陽よ、おれを助けてくれ、影を追い払い、夜を邪魔してくれ。太陽よ、ありとあらゆる墓場を照らし、暗い穴、隅々までもくまなく照らし、...
2022/07/01 05:17 - カフェ・サン・マルコⅡ 放逐の地、流謫の空、日常の崖、超常の涯、僕たちの心臓はただ歌い出す -
後生ですから思い出して、六月のあの朝、あたしたちは――イヨネスコ「瀕死の王」⑤
イヨネスコ「瀕死の王」より⑤ジュリエットお気の毒な陛下、陛下は道草を食っていらした。王おれは宿題を忘れて試験を受けに来た小学生みたいだ、予習もしていない……マルグリット(王に)心配いりませんよ。王……初日になってもせりふをおぼえない役者みたいだ、ぽっかりせりふが抜けている、ぽっかり、ぽっかり。むりやり演壇に押しあげられた弁士みたいだ、どう切りだしていいのか見当もつかない、だれに話しかけている...
2022/06/29 07:39 - カフェ・サン・マルコⅡ 放逐の地、流謫の空、日常の崖、超常の涯、僕たちの心臓はただ歌い出す -
どこへ放りだしてきたんだろう、スリッパは?――イヨネスコ「瀕死の王」④
イヨネスコ「瀕死の王」より④衛兵(口上)国王陛下!(音楽)気をつけ、国王陛下のお出まし。王さまばんざあい!王さまは舞台奥、下手よりのドアから登場。はだしである。ジュリエットがそのうしろから登場。マルグリットどこへ放りだしてきたんだろう、スリッパは?ジュリエット陛下、ここにございます。マルグリット(王に)はだしで歩かれるなんて、悪い習慣(くせ)ですよ。マリー(ジュリエットに)さ、スリッパをおは...
2022/06/29 06:36 - カフェ・サン・マルコⅡ 放逐の地、流謫の空、日常の崖、超常の涯、僕たちの心臓はただ歌い出す -
そんな王妃さまって見たことがありませんよ――イヨネスコ「瀕死の王」③
イヨネスコ「瀕死の王」より③マリー先生、なにか変ったことは?だんだん快(よ)くなっておりません?え?快くなることもありますでしょう?侍医とにかく陛下のは典型的な症状でして、まず変りようはありませんな。マリーそうですか、望みはない、望みはないの。(マルグリットを見ながら)こちらはあたしに希望を持つなっておっしゃる、禁止していらっしゃる。マルグリットたいていの人は偉大なものにやっきとなるのに、あ...
2022/06/27 07:52 - カフェ・サン・マルコⅡ 放逐の地、流謫の空、日常の崖、超常の涯、僕たちの心臓はただ歌い出す -
とにかく、あの連中の老けかたの早いこと、早いこと――イヨネスコ「瀕死の王」②
イヨネスコ「瀕死の王」より②マルグリットそれにあの負け戦(いく)さは言うに及ばずだわ。夜でも昼でも、兵営でたらふくごちそうを平らげた兵隊たちが、酔っぱらってぐっすり眠りこんでいる。そのすきに隣りの国の兵隊は国境線を押しもどす。こちらの領土は狭くなるのに、兵士たちは闘おうともしなかった。マリーあの連中は良心的反戦論者だったんですわ。マルグリットこの国では良心的反戦論者なんて言ってるけども、戦勝...
2022/06/27 06:59 - カフェ・サン・マルコⅡ 放逐の地、流謫の空、日常の崖、超常の涯、僕たちの心臓はただ歌い出す -
今やこの国は穴ぼこだらけ、まるで大きなグリュイエールチーズ――イヨネスコ「瀕死の王」①
荷坂峠の猿の王の話につづきまして、今回は人間界の王が出て来る芝居を引用してみましょう。このブログでは戯曲作品はまだ一度も取り上げてなかったことであるし(ブロークの劇詩はこの前取り上げましたが)。詩、小説、戯曲は文学の3本柱でありますので、もちろん戯曲作品もこれからいろいろ載せていきますよ!では。タイトル通り、瀕死の王をめぐる劇です。ウジェーヌ・イヨネスコ「瀕死の王」(大久保輝臣訳、中村光夫・...
2022/06/27 06:03 - カフェ・サン・マルコⅡ 放逐の地、流謫の空、日常の崖、超常の涯、僕たちの心臓はただ歌い出す