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ちょうど鳩の鳴声のように喉を鳴らしながら――平野威馬雄『癊者の告白』⑥

平野威馬雄『癊者の告白』より⑥佐賀にきてからのさえは、毎日、妙に沈んだ様子で、ぼくの誘いにも、三度に一度は拒否の表現で、うつむくのであった。だがナルコチカの、間断なき突き上げは、ぼくを、もう、相手の意志などに無関心にさせ、手足を鋭い蟻痒で悩ましつづけ、不思議に清新な締めつけの中で、奔放にさせずにはすまなくなったのだ。さえは、煙のかかったような眼でぼくを見つめる……その眼のなかにまえから、ぼく...