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創作時代小説雪しぐれ３６

３６光行は、まるで花嫁を迎えに来るかのように迎えに来た。「おおっ、美しい！よくにあっているよ。おかみさん、ありがとうございました」「ようにおうてはる。とても若返って見えますね、山本さん」「今日は特別な日なので、留守をおねがいします」「はいはい、わかりましたよ。ごゆっくり」古い付き合いなので、おかみさんは快く返事をしてくれた。おかみさんに見送られて、二人は歩きはじめた。二人の子供にはすでに言っ...

朝井まかて作「すかたん」を読みました。

朝井まかて作「すかたん」を読みました。【第一章ちゃうちゃう】雇われの寺子屋の女師匠知里は、大阪なんて大っ嫌い！と叫んでいました。この日も子供と揉めて仕事を首になったのでした。長屋に戻ると部屋に空き巣が入っており、手文庫に入れておいたなけなしの銭や簪をごっそり盗まれていました。しかも差配が家賃を払えと言い、困り果てている所へ、突然大太鼓を持って現れたのは家主の河内屋の若旦那、清太郎でした。知里...

創作時代小説雪しぐれ３５

３５光行も、今までのようには商売はできない時代という事をさとっていた。が、店にはサチがいなくなり志乃の負担は多いので、もう一人店員を雇うことになった。それは、行かず後家といわれる妙齢の30過ぎの女性であった。次の日さっそく顔あわせがあった。「宜しくおねがいします」髪が長く結ってあった。上着は今流行しているアッパッパとよばれる洋服をきていて、美人といわないまでも愛想もよく商売向きな女性であった...

萩原浩作「それでも空は青い」を読みました。

萩原浩作「それでも空は青い」を読みました。【スピードキング】フジシマ選手が亡くなったというニュースを聞いて、俺は愕然としました。幼少期から野球を父親に教わった俺はボーイズリーグのレギュラーでしたが、父親が死に、野球は辞めました。しかし中学でエースピッチャーになり、野球の強豪高校に入り、そこに藤嶋がいたのでした。藤嶋は圧倒的なピッチャーでした。高校3年の夏、俺達は甲子園に行きました。藤嶋は地区...

『わたしのいるところ』ジュンパ・ラヒリ

著者が母語ではなく自ら選んで学んだイタリア語で書いた最初の長編小説。様々な場所での日常を無駄のない短い文章でひとつに束ねた物語。後書を読んでから本文を読むとラヒリさんの書く姿勢がよくわかり深く読み込むことができます。

僕らのごはんは明日で待ってる

瀬尾まいこ『僕らのごはんは明日で待ってる』一人二役に聞こえる会話は、似ている二人だからなのか、力量なのか。

創作時代小説雪しぐれ３４

３４この日は、お花見以来の店総出の出来事であった。皆、生まれて初めての西洋文化にも触れた。アメリカの珍しい写真や切手、古い時代の電話機もおかれていかにも西洋風にしつらえてある、喫茶店の一角で子供たちは目をきらきらさせながらよろこんでみていた。そして楽しいひと時はあっという間にすぎる。子供たちも母親を亡くして気が落ち込んでいるので、少しでも明るくしてあげたかった。志乃も久しぶりに、家族でもない...

「しろばんば」

「#名刺代わりの10冊」に入れたい1冊が10代の頃に好きだった井上靖の「しろばんば」。数十年ぶりに読んでみました。作者自身の少年時代を描いた自伝的小説ですが、血のつながらないおぬい婆さんと土蔵で暮らしていることととんど焼きの場面が出てきたこと以外、すっかり忘れてました。読みながら「もしかして『吾輩は猫である』も読んだのかも」と思うほど。でもやっばり好きな作品でした。豊橋に住む両親の家に行った...

「マークスの山」

今日は天ぷらにしようとお使いに行ったのですが、天ぷらで一番好きなイカは良さそうなのが魚屋さんにありませんでした。その代わり、活きの良さそうな鯵がお皿に並んでいました。夕食は鯵フライに変更にしました。家に帰り、Youtubeをじっくり見て、鯵を3枚におろしました。鰯は自分で手開きにしますが、鯵の三枚おろしは今まで魚屋さんに頼んでいました。Youtubeでは簡単そうでしたが、散々な出来になりまし...

返却日が近づくと、焦ります

図書館から借りてきた本を返す時、何冊かの本を借りることがあります。家に読む本がないときが多いんですが、借りたすぐ後に、予約した本が入りました、と連絡があるのは何故なんでしょうね😵赤川次郎さんの４冊と一緒に借りたこちらの二冊返却日は金曜日ですが、無事読み終わりました。合理的にあり得ないは、ある男に嵌められて、弁護士資格を剥奪された女性が、東大卒の男と組んで依頼者からの頼...