"散文詩" の検索結果 16 件

  1. 哀歌15

    哀歌15

    その10代のおののきを見よ悲しく沈んだ難破船その深さはたとえようもない涙は枯れた繰り返し見る悪夢は消えたしかしながら身体に染み付いたその距離人間であるとはなんだ生命と死は何処にあるのだろう考えること空に見た空白のシーツ染み入った白に汚泥がしつこく呼んでいるあくまでも空隙とあるぼくの体の一部がもう壊れている修復は不可のなのだ生と死はぼくの身近にある歓喜を見た日それは遠く離れた静かに揺蕩い干から...

  2. 籠女

    籠女

    何処からともなく現れるアナタテンテンテンテン…廊下で 手鞠をつく音アナタの姿を見ようとしたけどワタシの気配を感じてサッと姿を消すアナタが居た場所には手毬がコロコロ、転がるテンテン…テンテン…幾度なく繰り返される行為〈~かごめ かごめ 籠の中の~♪〉〈夜明の晩に~♪〉歌が聞こえてきたその歌を聴いている内に〈鶴と亀が滑った~♪〉秘部が疼き白濁色の液体が垂れ下がってくる感覚〈次の籠女、見付けたぁ…...

  3. 渡り歩く

    渡り歩く

    私は、発行年も発行元が判らぬ本である。最初に売り出された場所は、駅前にあった本屋だ。最初に購入した者は書生らしき者だった。1年程経過した頃、私は他の本たちと一緒に古書屋に引き渡された。この古書屋では、何人かの者たちに立ち読みだけで済まされ、三週間程経った所で、二人目の購入者が現れた。しかし三日足らずで私はまた古書屋に引き渡された。それから、三軒、四軒、五軒と幾度なく市内にある古書屋を渡り歩き...

  4. 参り

    参り

    お宮様参りの帰り道一段、二段、三段四段目で 鼻緒が切れた〈四段目で足を止めたら奥の院へ連れて行かれる〉ザザアァァ ザザアァァ竹藪が激しく揺れ空は暗くなりポツ、ポツ、ポツ、ポツ小雨が降りだすそれは お宮様が現れる合図ガラン、ガラン、鈴が鳴り出す「お宮様に見付かる前に早く元来た道へ 戻りなさい」下駄を投げ出す裸足で石階段を掛ける〈逃がさない〉ヒュル、ヒュル、ヒュル横から黒い無数の手が先の身体を...

  5. 或る子河童の噺

    或る子河童の噺

    明朝の町コケコケコケコケ五羽の鶏たちが、目先の小さな生き物を執拗に突っつく小さな体に蛙の様な手と足に頭には小さな透明の皿、背中には甲羅「ピ、ピキャ、ピヒャ…」その生き物は無盡に逃げ回るが、五羽の鶏たちは執拗に追い掛け手と足と甲羅を突っつく突っつく度に、コツン、コツンと甲羅から小さな音逃げ回る 生き物「ふー…今日は何とか勝てたな」賽子屋から帰り足の少年の姿藍色の衣に袂落としに入れた紙幣と硬貨が...

  6. 初参り

    初参り

    人里から離れた山奥に、小さな神社があるその神社には何が祀られているのか何時から建立されていたのか、付近の村民は知らない年の暮れの晩。人里は年の瀬を迎える人里から離れた小さな神社の境内に無数の赤弓張提灯がぶら下がっているポゥ、ポゥ、ポゥ…、一つ、二つ、三つ…次々と赤い弓張提灯に火が灯る境内の赤い弓張提灯たちに火が灯ると本殿から、筱笛、鼓、琴、太鼓の囃し今宵、アヤカシたちの初参りが行われる本殿か...

  7. 或る月の少女の噺

    或る月の少女の噺

    人里から離れた屋敷の渡り廊下霞に隠れそうな月を見上げる少女足元には、一羽の白兎少女は月に不和を招きモノ追われし身身を隠れし この山へ帰りたい帰れない独り 孤独に毎晩 月に帰りたいと枕を濡らし(何時になるのだろうか…)憂き世にながらへて何の数奇在るならんと地さえ歩けぬモノ片や天を仰ぐ片や月を睨んで己 命を天秤に置いて占見 呪見 なり白兎を抱き抱える少女〈兎、なに見て跳ねる〉天へ月へ還れぬ我が身...

  8. 百鬼夜行

    百鬼夜行

    在らぬ闇に潜む 小さな集団それは在らぬ世から来た 百鬼夜行たち丑三つ時 百鬼夜行たちの宴が始まる蝦蟇の蛙車、赤鬼、青鬼、琵琶、琴、柄勺に唐傘、付喪神が行列を成す琵琶と琴が自らの躰の弦を弾き踊れや 踊れや 踊れやお出まし お出まし 丑三つ時に百鬼夜行たちがお出ましこの世に在らぬ世からきた 百鬼夜行たち変化自在 昔も今も 真実は万事忘れ去られたモノ暗闇の中 常世の中 百鬼夜行かしまし雀たち 騒々...

  9. 或る雪女の噺

    或る雪女の噺

    山道を散歩していると、蹲っている貴女を見付けた貴女は付近で山菜取りをしていたら足を滑らせてしまったと云う(また嘘を。ワタシを殺しに来たのだろう。道を迷わせて殺してしまうか)山に入り良からぬ行動をしている輩は、殺していた手を差し伸べながら、他愛の無い話をした貴女と会話していると、不思議な気持ちになった今まで逢ってきた人間たちとは、何処か違っていた度々、貴女は山に来るようになり、会話を重ねていっ...

  10. 或る狸の戀の噺

    或る狸の戀の噺

    人間に化けた狸は、屋台で呑み歩き回りあっちに、ふらふらこっちに、ふらふら千鳥足右手には、二つの徳利左手には 、折り詰めあっちに、ふらふらこっちに、ふらふらその度に、二つの徳利はカチャン、カチャン土手で野草を摘んでた少女は、その音に気付き、顔を上げた徳利が、何回目かのカチャンと鳴ったのと同時に、狸は足を絡ませてしまい小川へ転がり落ちてしまった二つの徳利と折り詰めは、空を舞うその様子を見ていた少...

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