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水声

川上弘美『水声』自分の子どもなのに親と名乗れないとか、兄妹なのに夫婦のふりをするとか、姉弟でも恋人みたいだとか。血のつながりとはいったい？

創作時代小説雪しぐれ４９

４９勝も武も不安はかくせなかった。しかし、母の気持ちを考えると。これ以上不服を言うのは可愛そうなのでおとなしくしていることにした。家族の契りは、それぞれの思いはあっても、動き出した歯車はもう止められない。光雄は、お祝いが終わると、1番にどこかへ消えた。志乃は部屋に戻ると、光行にどうしても聞いておきたいことがあった。「光行さん、そういえるのも何年ぶりかしら。どうしてもわからないことを聞きいたい...

創作時代小説雪しぐれ４８

４８そんな秋のある日に籍をいれた。もう一度家族でお祝いをするという。光行は今は結婚式などはできないので、その代わりという名目であった。商売も新しく始めた所だし、軌道に乗るまでは何とも言えない。家族を集めて言った。「さあ、今日からはこの志乃さんも家族だ。父さんは5人の子供の父親になってしまった。皆仲良くたのむよ。なんとしても第一に店の事を成功させねば生きていけない。よろしく皆にたのむ。勝君、武...

千早茜作「しろがねの葉」を読みました。

千早茜作「しろがねの葉」を読みました。【赫然たる山】ウメは夜目のきく娘でした。暗闇は少しも怖くありませんでした。両親の性交も、弟の血まみれの出産も、黙ってウメは見つめていました。深夜1人で戸外をうろつき、魑魅魍魎だと噂されて夜歩きを厳禁されましたが、昼間に野山を渉猟し、薬草や茸を持ち帰るようになりました。木の洞に潜んでいると、父親達がこのままでは飢え死にだ、逃散するしかないと相談しているのが...

『あやかし薬膳カフェ「おおかみ」2』感想

『あやかし薬膳カフェ「おおかみ」2』感想(森原すみれ:著凪かすみ:イラストアルファポリス文庫2023年)※画像はイメージです【あらすじ紹介】自然豊かな北海道に、秋から冬の季節がやって来た。あやかしが見える桜良日鞠が、薬膳カフェ「おおかみ」の店長・大神考太朗と想いを通わせて、数か月が経った。二人を慕う豆腐小僧を始め、あやかしたちも元気一杯だ。情熱的な凜姫、雪女の少女・深雪など、新たな出会いとと...

『ミッテランの帽子』アントワーヌ・ローラン

『赤いモレスキンの女』『青いパステル画の男』に続き読む1980年代のパリに詳しければより楽しめると思う大統領の黒いフェルト帽が4人の手に渡ることでそれぞれの生活が変化してゆくロマンティックな物語

寂しき春室生犀星朗読

したたり止まぬ日のひかりはあれど、一人遠い故郷を思うと寂しさが募ると言うことでしょうか。「ふるさとは遠きにありて思ふものそして悲しくうたふもの」と言う犀星の詩が思い出されます。お聞き下さい。(*^^*)ｵﾈｶﾞｲｼﾏｽ3月と思うと母の亡くなった日を思い出します。3月の1日でした。まる4年経ちました。時の流れというものは本当に人の心を癒してくれるものです。大急ぎで風は雪を溶かしていきます。でも...

創作時代小説雪しぐれ４７

４７朝食は、何事もなかったように用意されていた。夕べの騒ぎも誰も何も言わない。妙な雰囲気は、他人の家で世話になって初めてしってしまった。家族にとっても、自分の存在は迷惑であるかもしれない。「ゆっくりしなさいね」と言ってくれる仁（ひとし）の母にも、やはり気をつかってしまう。自分の家も商売をしているので、よくわかるような気もする。学校につくと思わず光雄は言ってしまった。「迷惑かけてしまったな。あ...

創作時代小説雪しぐれ４６

４６光雄は、父親の再婚をよしとせず、多感なゆえに抗うという姿勢にでた。下駄屋を営む友人佐久間仁、（さくまひとし）の家の二階で、光雄はくつろいでいた。光雄の家からは少し離れてはいるが、同じ町である。「色々、迷惑をかけてしまうが、恩にきるよ」「どうしたって？父親の再婚か・・・。気持ちはわかるけど、あのおとなしそうでしっかり者と言われている志乃さん？まあ、そんなに悪い人でなさそうだけど」友人の剛は...

千早茜作「魚神」を読みました。

千早茜作「魚神（いおがみ）」を読みました。千早先生は小説「しろがねの葉」で本年度直木賞を受賞されています。本作は先生のデビュー作になります。白亜とスケキヨ姉弟は、かつて一大遊郭が栄えた、閉ざされた島で暮らしていました。島で暮らす人々は、寂れた遊女屋街に寄生して暮らし、誰も夢を見ませんでした。というのも、島の中ほどにある山の祠に住む獏が夢を喰ってしまうからでした。島に住む人々の心は虚ろで、その...